ミノルタ「MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4」分解・清掃・作例

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4 ミノルタ

◎今回は国産の数少ないトリプレット構成(3枚玉)の中望遠レンズ、ミノルタ「MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4」を分解・清掃してみました。
もちろんリサイクルショップのジャンク棚にあったカビジャンクです(笑)

当時の3枚玉中望遠レンズはこの他にも「NIKON NIKKOR-T 10.5cm f4」や「PETRI C.C Auto petri 135mm f3.8」、「MINOLTA ROKKOR-TC 100mm F4」などがありました。
しかしこれらは今となっては価格も高くなり、数も少なくなってしまいましたが、この中では「MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4」が比較的手に入れやすいと思います。

1958年発売 当時の価格は¥11.200(革ケース¥1,000、フード¥500)
レンズ構成:3群3枚(トリプレット型)  画角:18° 最短撮影距離: 1.5m
最小絞り: F22  外寸: 56x115mm  絞り: プリセット絞り 重さ:375g
フィルター径: 46mm  コーティング: モノコート 絞り羽根枚数: 12枚

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。

 

 

①まずレンズ鏡筒を分離します

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4 分解

A: まずマウントを外す為にマウントを固定してあるネジ4本を外し、マウントを外します。
このレンズのマウントに機械的や電気的な接続は一切ありませんが、取付位置だけはマーキングしておくと安心です。

B: そしてカニ目ツールなどを使い、レンズ部分を固定しているリングナットを外します。

C: するとレンズ部とヘリコイド部を分割する事ができます。
この時に中央に入っている銅製のカラーの取付位置と向きの確認を忘れないで下さい。

D: そしてレンズ部分の絞り値の書いてあるフィルター枠を外します。

 

②各レンズの清掃

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4レンズ清掃

A: レンズ前群を手で反時計回り回して外します。

B: レンズ前群が外れた状態。
レンズ固定リングにはネジ止め剤が塗ってありますので、エタノールを染み込ませてちょっと待ってから固定リングを外すと良いです。

C: 各レンズを取り外して清掃しますが、矢印のレンズは向きが分かりにくいので、向きのマーキングをしておくと良いです。
(忘れた時は画像④の構成図を参照してください)

D: レンズ後玉を外して清掃します。
レンズの清掃のみならこれで組み立てて完成となりますが、この時期のミノルタレンズは各ネジが緩んでいる事があるので増し締めをしておくと安心です^^;

 

③絞り羽根の清掃偏

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4絞り清掃A: もし絞りリングを外す時やこの絞りリングのネジを外す時はここにクリックボールとバネが入っていますので、紛失に気を付けて下さい!!

B: 本来はこの下のスカート部分を緩めて分解した方が絞り羽根の組み立てが楽なのですが、ネジ止め剤がガチガチだったので、このイモネジを緩めて絞りを分解する事にしました^^;
イモネジを緩める前に必ず可動部が固定してある位置のマーキングを忘れないで下さい。(矢印部)

C: 可動部を外し、絞り羽根の取り付けてある表裏を確認したら、絞り羽根を外します。

D: 今回のこのレンズの絞り羽根の動きに問題は無く、油滲みも無かったのですが、エタノールの付いた綿棒で拭いてみると結構汚れていました。
絞り羽根に角がある方のピンが固定側に入ります。

 

④絞りの組み立て

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4絞り組み立て

A: 今回は可動側に絞り羽根を組んで合体し、後ろからピンを針で突いて固定側の穴に絞り羽根のピンをセットしました^^;
因みにこの画像は絞り羽根の裏表が逆で、泣く泣く後から組み直しました(笑)

B: 組み立てたら動作チェックをし、埃をブロアで吹き飛ばしておきます。

 

⑤ヘリコイドグリス交換

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4ヘリコイドグリス交換

A: フォーカスリングを無限遠にセットし、フォーカスリングを固定している3本のネジを外してフォーカスリングを取り外します。
この時にアウター、センター、インナーのどのリングも絶対に動かさない様に外してください。
特にインナーはちょっとでも動くとセンターの位置が大幅に狂います。

B: どのリングも間違いなく動いてないのを確認したら、各リングの位置マーキングをしておきます。

C: 参考データ「フォーカスリングのストッパーはここになります」

D: マウント側にある直進キーを外します。

⑥ヘリコイド分解・清掃・グリスアップ

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4ヘリコイド分解A: おおよそアウター(外側の細かいヘリコイド部)が無限遠の位置から締めこんで1.5回転で停止しますが、インナーのヘリコイドがちょっと動いただけで、この数値は大きく変動するので、インナーをしっかりマーキングに合わせておきます。
そしてアウターは無限遠からおおよそ15回転で外れますので、外れる瞬間位置にマーキングしておきます。

B: インナーのメインヘリコイドはマーキングした位置からおおよそ0.7回転で外れますが、外れる瞬間の位置はとても大事なので、しっかりマーキングしておきます。

C: メインヘリコイドを外したら、一度組む時のシュミレーションをしておくと組み立てが楽になります。

D: 外したヘリコイドをエタノールとブラシで綺麗にし、ヘリコイドグリスを塗布して逆の手順で組み立てます。
そして鏡筒を組み合わせ、マウントを取り付けて完成です^^

 

⑦「MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4」の作例

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4作例トラック

使用カメラはレンズ画角の中心付近を使う1インチセンサー「ニコン1 V1」を使っています。
絞り値は忘れてしまいましたが、花や人物以外は絞ったと思います^^;

 

⑧雑草と玉ボケ

ミノルタ135mmf4玉ボケ

 

⑨花(ツバキ)

ミノルタ135mmf4花

 

⑩花(黄色)

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4黄色の花

 

⑪高速道路の工事現場

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4工事現場

 

⑫渋滞中

ミノルタ135mmf4渋滞

写そうと思ったら、車が動き出してピンがあやふやになりました^^;

⑬夕日に染まる川

MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4 夕日に染まる川

1枚目のトラックは順光で、このレンズの性能を良く発揮できたと思います。
あとの写真は中望遠レンズを夕暮れに「手振れ補正無しの小さいセンサーのカメラ」で三脚も使わずに撮ったので、手ブレ写真を量産してしまいました^^;
それでも3枚玉の抜けの良い画質は堪能する事ができたと思います。

作例はちょっと納得いかなかったのでまた撮り直すかもしれません^^;

 

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)

コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。

 

以上、【ミノルタ「MINOLTA ROKKOR-TC 135mm F4」分解・清掃・作例】でした!

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