TAMRON「AF 28-200mm (model171D)」分解・清掃・作例

171Dアイキャッチ タムロン

◎今回は低価格で比較的手に入り易いタムロンのAFズームレンズ「AF28-200mm F/3.8-5.6 LD Aspherical IF Super (model171D)」を分解・清掃してみました。
このレンズは1998年発売のMF版アダプトール2仕様の「モデル171A」と1999年にデザインを一新した「モデル571D」と言う兄弟モデルが存在しますが、中身は変わっていません。
スペック的には「2枚の複合非球面レンズとLD(低分散)レンズ」が採用されている他、「インテグレイテッド・フォーカス・カム」で最短撮影距離の短縮と画質の向上が図られているそうです。
但し、フィルム時代のレンズの為に、デジタルカメラの画像センサーとの内面反射によるコントラストの低下は避けられないと思われます(汗)

1996年発売 当時の価格は¥55.000 レンズ構成14群16枚 最小絞りf22
最短撮影距離0.52m(135mm付近) フィルター径72mm 重量465g

あと今回はペンタックスマウントの為、ニコンマウントやAマウントと同じレンズ構造だと思いますが、キャノンマウントはAFモーターと電磁絞りがある為により複雑な構造になっていて参考にならないかもしれません。

参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
ちょっとタムロンのレンズが続いてしまい、申し訳ありません(汗)

 

 

①それでは分解・清掃していきます!

171d前群A(縮)とB(伸)はこのレンズをジャンクで買った時のガタで、こんなにガタつきが生じてました(汗)
修理方法は簡単で、後述の「⑨のD」に記しておきます。

C:前枠のゴムカバーを外して下にずらしておきます。
そしてネジ(1)が3個見えるので外します。
(2)のフードの位置決めマークは鏡筒の指標線の位置になりますので、組む時は合わせて下さい。
そして前枠を外します。
次に前群ユニットの位置をマーキングしたら固定ネジ3個を外し、前群ユニットを外して清掃します。

D:(1)の大きな遮光の◎板はつまんでどちらかに回すと溝から外れて取り外す事ができます。
組み立てる時はハメ込むだけで良いです。
(2)の中玉前にあるプラスチック製の化粧リングはプラスチック製のツメ3ヶ所でハメてあるだけなので、ツメを折らない様に少しずつ均等に持ち上げて外して下さい。

 

②中群(前)とマウント外し

171d中群とマウントA:外した前群ユニットの中がカビていたら、このテープを剥がして組み合っている位置をマーキングし、ユニットをひねれば分割して清掃できます。
(接着剤の接着力は弱いですが、残りカスは取り除いた方がいいです)

B:このネジ3個を外し、中群(前)をスペーサーに注意しながら取り外して清掃します。
カビが軽度で、各ユニット内までカビが侵食していない場合、ここから中群(後)の前を掃除し、マウントを外して(③のC)後群ユニットを外して清掃し、そこから中群(後)の後ろを掃除すれば全バラしなくても清掃完了になっちゃいます。
(⑩のDの図を参照してください)

C:マウントを固定している4本のネジを外し、マウントを外します。
(ニコンやキャノンマウントの場合は遮光パーツと接点を外す必要があります)

D:この時、ペンタックスマウントは端子間にアース用のバネが入っていますので、取り外して保管します。

 

③絞りリングと配線の取り外し

絞りリング171dA:絞りリングを取り外しますが、この時に(1)のボールとバネが飛び出しますし、(2)のボタンもポロッと外れるので、透明な袋の中で作業します。

B:絞りリングを外したら、部品が全部あるか確認します。
この時に(1)の接点が曲がっていないか確認し、気を付けて保存します。

C:カプラーからフレキシブルケーブルを外します。
(1)のロックを引き抜けば、(2)のフレキシブルケーブルを外す事ができます。

D:(1)のネジ4本を外し、マウントのベースを外します。
この時にAF駆動ギヤも外しておきます。

 

④スペーサーの位置とギヤユニットの取り外し

スペーサー171dA:マウントベースを外したら、入っているスペーサーの数と位置をチェックしておきます。

B:外した部品はパートごとに100均の袋に保存しておくのがおススメです。
これなら埃も付かないですし、組み立ても楽になります^^

C:ギヤユニットとズームリングのリンクを外します。

D:こんな感じで外し、上の短い皿ネジはリンク用と覚えておきます。

 

⑤ズームリングの取り外しなど

171dズームリングA:ズームリングはこの位置で外れる様になっています。
ゴムは外さなくてOKです。

B:そのまま引き抜いて保存します。

C:ここから鏡筒を伸ばしたり縮めたりするので、やり方を覚えておきます。
でも固くて回しにくいと思いますので、④のCのリンクを仮固定しておくと動かしやすくなると思います。

D:フォーカスリングの白いコロとネジを外します。

 

⑥フォーカスリングのパーツを外していきます

フォーカスリング171dA:接点作動用のコロ基台を外します。

B:(1)を回してドライバーの通る穴に合わせ、ドライバーを入れてギヤユニットを外します。
ここのネジは「ネジ止め剤が塗付」してあり、ガチガチなので頑張って下さい!
しっかり力を入れられるプラスドライバーを使う事を強く勧めます!
自分は右のネジが緩まず、ネジの頭をミニペンチで挟んで回しました(汗)

C:最後にこのストッパーのネジを外しますが、Dのトラップがあるのでフォーカスリングは回さずに外して下さい!

D:Cのストッパーネジを外したら、ここからはボールが飛び出す可能性がある為に透明な袋の中で作業します。
ゆっくりフォーカスリングを反時計回りに回すと、接点の部分にフリクションボールが出てきます^^;
そしてここのボールとバネを回収しておきます。
組む時は落ちない様にグリスを塗付して組むと良いです。

 

⑦フォーカスリング、鏡筒(前)を外します

鏡筒171dA:フォーカスリングは外れる「くぼみ」がありますので、その位置に合わせて外します。

B:次は鏡筒(前)を外す為にネジ3個を外します。

C:鏡筒(前)の位置をマーキングしたら外します。
この時に銅製のナットコロも無くさない様に保存しておきます。

D:ズーム位置の電子接点を位置マーキングしてから外します。

 

⑧メイン鏡筒の分解

メイン鏡筒171dA:自分は今回このフォーカスリングの電子接点を外さずに作業しました。
でもここのリングを回し過ぎると接点を破壊しますので気をつけてください。

B:このネジ3個を取り外し、中のズームユニットに位置マーキングしてから引き抜きます。

C:今度は白いコロの付いたネジ3個を取り外し、レンズの付いた絞りユニットに位置マーキングをしてから取り外します。

D:それぞれのレンズを清掃します。
レンズはハメ殺しなので、もし中にカビがあったら覚悟を決め「レンズを固定しているプラをカッターで削って取り出す」か、「穴を開けて超音波洗浄or圧搾空気でポン」しか方法はありません(汗)

今回は後群ユニットが綺麗だったので分解・清掃をしていませんが、やり方は「タムロンA06の後群」とほぼ同じなので参考にして下さい。

 

⑨分解状態での中群(前)の外し方と①のトラブルの理由

中群前171dA:この丸い遮光板は指でつまんでちょっと引っ張りながら回すと外れます。
(①のDと同じです)

B:このパーツはプラスチックのピンで刺さっているだけなので、横からドライバーを突っ込み、少しずつ周囲を持ち上げながら外します。

C:そしてネジ3個を外し、入っているスペーサーに気を付けながら中群(前)を外します。

D:①のガタABの原因はこのリングナットが緩んでいたからでした。
締め付ければガタは無くなります^^

後はマーキングに従い、逆の手順でブロアしながら組み立てて完了です。

 

⑩組み立ての注意点など

組み立注意点171dA:⑧を組み立てる時、上は大丈夫と思いますが、下の左の凸が右の凹に入っていないと組み立てる事ができないので注意して下さい。

B:ここのくぼみはプラの固定側と金属の可動側の両方を合わせてフォーカスリングを組み込みます。

C:フォーカスリングをセットする位置はここになります。

D:あまり分解したくない時は(1)を外して清掃、(2)を外して(2)と(3)の前を清掃、
(4)を外して(4)と(3)の後ろを清掃する手順で行えば良いと思います。

☆お疲れ様でした!

 

⑪タムロン「AF 28-200mm (model171D)」の作例

171d作例広角28mm f8.0
カメラはアイキャッチ画像の「ニコン1 V1」で、センサーが1インチの1000万画素の為に「フルサイズカメラ7000万画素の中央約1/7をトリミングして使っているのと同じ状態」になります。
なのでレンズにとっては中央の解像度の良し悪しが大きく影響する事になります(汗)

 

⑫砂利を運ぶクローラーキャリア

クローラーキャリア200mm f8.0

 

⑬看板

看板135mm f8.0

 

⑭赤い花

赤い花135mm  f8.0 最短撮影距離0.52m

花の名前は分かりませんでした^^;

 

⑮花のつぼみ(28mm)

花の蕾28mm28mm 最短撮影距離0.95m(レンズ指標) f3.8開放

 

⑯花のつぼみ(200mm)

つぼみ200mm200mm 最短撮影距離0.8m(レンズ)指標 f5.6開放

 

⑰黄昏の富士山

黄昏の富士山

135mm  f5.6

 

⑱口径食

口径食171d135mm 開放f5.6?

デジタルカメラで使うと酷評されがちなこのレンズですが、自分は思ったより悪くない印象でした。
確かにコントラストやシャープネスは最新のレンズと比べると若干低いですが、逆光や暗い場所で使わなければ今でも十分使えるレンズだと思います^^

 

◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、落ち着いて慎重に行って下さい。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、参考程度にして下さると嬉しいです。
あとレンズの分解・清掃は必ず自己責任でお願い致します(汗)
以上、【TAMRON「AF 28-200mm (model171D)」分解・清掃・作例】でした!

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました