◎別館ブログでこの「FD50mm F1.4 S.S.C.」の分解清掃記事を載せて欲しいと言うコメントを受けたものですから、またまたキャノン続きになりますが💦、「FD50mm F1.4 S.S.C.(Ⅱ型)」を分解清掃して作例を載せた内容になっています。
「FD50mm F1.4 S.S.C.」にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型は絞りリングのオート文字が「〇」で、Ⅱ型は絞りリングのオート文字が「A」になっているので判断でき、更にプラスチックの使用で軽量化されています。
(因みにキャノンミュージアムの画像はⅠ型とⅡ型が逆です💦)
と言う事で今回はⅡ型の分解清掃になりますがⅠ型とは絞りリング周辺の仕組みが違うので気を付けて下さい^^;
1973年6月発売 当時の価格は32,000円 重さ: 303g(実測)
レンズ構成: 6群7枚(ダブルガウス) 絞り羽根枚数: 8枚
最小絞り: f16 最短撮影距離: 0.45m 最大撮影倍率: 0.145倍
フィルター径: 55mm 外寸: 65.3x49mm スーパースペクトラコーティング
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
①前群レンズユニットの取り外し
A: 銘板を吸盤オープナーなどで反時計回りに回して外しますが、固い時はドライヤーで暖めてから行って下さい。
B: こんな感じで外れます。
C: 作業をやり易くする為にフィルター枠を外すと良いです。
D: フィルター枠を外します。
②前群レンズ清掃とマウント外し
A: 前群レンズユニットを反時計回りに回して外します。
B: 前群レンズユニットを分解して各レンズを清掃したら組み立てます。
C: マウントのブリーチロックは隙間にあるピンを押すと動きますので、ピンを押しながら時計回りに回し、ネジが3個見える位置で止めます。
D: ネジ3個を取り外します。
③マウントの取り外し
A: FDレンズはここのネジを絶対に緩めないで下さい💦
もし絞り連動レバーの動きが悪ければ別ですが、ベアリングのボールが数十個出てきて大変な事になるからです。
B: マウントを外すときはまず大きい方の絞り連動レバーを右に動かしてロックさせます。
C: マウントをゆっくり慎重に外しながら、マウントの各レバーが入っている位置を確認して下さい。
マウントを組む時は絞りリングをAモードにして組んで下さい。
マウントの組み方(別館ブログです)
D: マウントを外したら、ここのピン&バネを回収します。
④後群レンズの清掃
A: 後玉を外し(外してあります)、次のロックリングを外せばレンズ、スペーサー(向きがあり、太い方が絞り側)、合わせレンズの順番で外せます。
B: 各レンズを清掃し、レンズの清掃のみなら後は逆の手順で組み立てれば完成になります。
C: ここからは絞りリングの取り外しになりますが、ボールが2個ありますし、確かⅠ型に至っては長いスプリングまで入っている為にかなり組み立てが困難なんですよね…
動きが悪くてグリスアップをする以外はあまりお勧めできません💦
注意点として確かⅠ型は絞りリングが固定されていない為にそのまま外れるので注意して下さい!
Ⅱ型は黄色丸のパーツを外せば絞りリングが外れますが、取り付けネジの長さが違うので注意して下さい。
尚、この作業はボールやバネが飛んでいく可能性がありますので、必ず袋の中で作業して下さい。
D: 外した絞りリングとボールを清掃します。
⑤ヘリコイド分解
A: フォーカスリングを∞にセットします。
B: 一応、中の銀色部分とフォーカスリングとの組み合わせ位置マーキングをします。
そして3個の固定ネジを外します。
C: フォーカスリングを外します。
(自分はネジが分からなくならないようにまた取り付けてます)
D: ∞時の鏡筒底辺からメインヘリコイドまでの幅を測定します。
(31mmでしたが、個体差があるので参考程度にして下さい)
⑥ヘリコイド分解B
A: 次に∞時の鏡筒底辺からサブヘリコイドまでの幅を測定します。
(19.5mmでしたが、個体差があるので参考程度にして下さい)
B: 直進キーを固定しているネジを外します。
C: メインヘリコイドを時計回りにかなりゆっくり慎重に回し、外れた瞬間の位置をマーキングします。
D: こんな感じでサブヘリコイドを基準に、メインヘリコイドの外れる瞬間の位置をマーキングします。
⑦ヘリコイドグリス交換
A: サブヘリコイドのストッパー取り付け位置のマーキングをし、ストッパーを取り外します。
B: サブヘリコイドも外れる瞬間の位置を指標線を基準にマーキングしておきます。
C: 古いグリスを洗浄油とブラシで綺麗にしたら、まずサブヘリコイドに固めのブラシなどで新しいヘリコイドグリスを塗布します。
(メインヘリコイドは絞り羽根清掃が終わってからです)
サブヘリコイドの組み立てはまずサブヘリコイドを外れた瞬間の位置から入れて測定した幅まで入れます。
するとストッパーを組み付けるおおよその位置に来ていると思いますので、ストッパーを取り付け位置に組み付け、無限遠位置にセットします。
D: 作業してたらネジの頭が落ちました…??
触ってないので、きっと金属疲労なんだと思いますが、余計な作業が増えてしまいました💦
⑧絞りユニットの取り外し
A: 絞りユニットを外す前に回転方向にちょっとガタがあるので、切り欠き部分に正確な位置マーキングをしておきます。
そして3個のネジを外します。
B: 絞りユニットを外し、後ろに付いているバネの可動側を外しておきます。
C: 絞りユニットの3個のネジを外します。
D: カバーを外したら、羽根の向きと表裏を確認して分解します。
⑨絞り羽根清掃
A: 擦れる部分は全てエタノールなどで脱脂します。
B: 絞り羽根を組み立てたらカバーを付け、後ろのバネも取り付けます。
C: 絞りユニットを組む時はメインヘリコイドの凸パーツと絞りユニットの凹を組み合わせるようにします。
D: 仮組みをしたら、画像⑧のAで付けたマーキングにピッタリ合わせてネジを締め付けます。
⑩組み立ての注意点など
A: この状態で絞り羽根の穴の直径が1.7mmくらいなのを確認します。
B: メインヘリコイドの組み付けは、まずメインヘリコイドに固めのブラシなどで新しいヘリコイドグリスを塗布し、グリスを塗った直進キーを仮組します。
次に外れた瞬間の位置からメインヘリコイドを入れ、測定した幅までメインヘリコイドを入れます。
すると直進キーがネジ穴付近に来ていると思いますので、直進キーにネジを取り付けて完成です。
C: 絞りリングを取り付ける時はまずボールをグリスで固定し、絞りリングにボールを先に入れて押す感じで絞りリングを組み込みます。
これがなかなか難しいです💦
この作業はボールが飛んでく危険がありますので、必ず袋の中で作業して下さい。
D: 絞りリングが入ったら、ボールが2個見えるか必ず確認して下さい。
後は逆の手順で組み立てれば完成です。
⑪純正フードのガタツキ修理
A: キャノン純正のフードは固定するゴムが劣化してガタガタになっている可能性が高く、まず固定部のリングを分解します。
B: 朽ちたゴムを綺麗に取り除きます。
C: 100均で売っているパイプをゴムパーツの大きさに切ります。
D: リングを緩めた状態で切ったパーツを入れていき、全て入れたらネジを締め付ければ完成です。
緩い時は自作パーツ長めに切り、固い時はカッターなどで削りながら調整して下さい。
⑫「Canon FD50mm F1.4 S.S.C. 」の作例
使用カメラはフルサイズミラーレスのソニーα7で、絞り値は分かる範囲で記載しています。
しかしながらこのレンズの前玉コーティングはマクロバブルみたいな痛みがあり、本来の性能では無い事をご了承ください💦
⑬大通り
⑭学校
⑮土筆
⑯ドクター東海(失敗)
何とですね、開放撮影でセットしたISO50のまま絞って撮ってしまいました💦
せっかくのドクター東海が被写体ブレです(涙)
⑰弁天島のゆるキャン△
絞った写真も撮りましたが、雰囲気はこちらの開放の方が良く感じました。
⑱ビーチサイド
⑲ビーチホテル
たまにはこうした景色のいいホテルに泊まってみたいものですね~。
⑳カセットデッキ
開放f1.4
レイアウトが珍しいデッキだったので、買ってきてオーバーホールしたものです。
☆キャノン「FD50mm F1.4 S.S.C. (II)」は良く写る印象で、明るい標準レンズを楽しむには最適の1本だと思いました♪
ただ欠点は割とコーティングが痛んでいる個体が多い事と、近接撮影だと新型のNewFDの方に軍配が上がる感じです。
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
コメントはできればこちらの「ヨッシーハイムannex」ヘお願いします。
以上、【キャノン「FD50mm F1.4 S.S.C. (Ⅱ型)」分解清掃・作例】でした!
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