◎今回は1991年に発売されたキャノン 「Canon EF28-80mm F3.5-5.6 USM」Ⅰ型の簡単な分解・清掃・作例を載せてみました。
それまでフレキシブルケーブルの組付けが基盤へ直接ハンダ付けだったのが、この頃からカプラー式に変更されたモデルで、サクサク分解・組み立てが可能です。
ついでにAF故障の原因を探ってみました。
1991年10月発売 当時の価格は¥42.000 フィルター径:58mm 最小絞り:f38
レンズ構成:9群10枚 絞り羽根枚数:5枚 最短撮影距離:0.5m 最大撮影倍率:0.18倍
外寸:72×77.5mm 重さ:330g 非球面レンズ:1枚
AFモーターにリングUSM(超音波モーター)採用
この「EF28-80mm F3.5-5.6 USM」はこのⅠ型から1999年に発売されたⅤ型まで発売されましたが、個人的にはこの大きなプロテクト鏡筒を持つ初期型がお気に入りです。
でもフォーカスリングが手前にあるので、慣れてないと使いづらい側面もあります。
参考として「レンズの分解・清掃に必要な道具とコツ」、「バルサム切れ修理」、「レンズの黄変の修理」、「弱いレンズコーティング」などを記事にしていますのでそちらもご覧ください。
今回も多忙な為に過去に整備した中途半端な画像を用いている為、ちょっと分かりにくくなっていたり、間違っている可能性がある事をご了承ください^^;
①それでは「Canon EF28-80mm F3.5-5.6 USM」を分解していきます
A: ここは接点に繋がるフレキシブルケーブルを切らない様に作業する必要があります。
まず青矢印の接点を固定している2本の小さなネジを外し、次に黄色丸のネジ4本を外します。
そして接点側を軸にしながら反対側を少しずつ持ち上げ、指が入る隙間ができたら嵌め込んであるだけの「後玉レンズの付いた黒いフレアカッター部」を指で押して外します。
この時、絶対にフレキシブルケーブルを切らない様にして下さい。
するとマウントの金属リングも外す事ができます。
B: 基盤からフレキシブルケーブルを外しますが、青丸部分は白いロックを手前に引いてケーブルを外し、黄色丸はそのまま引き抜けば外れます。
フレキシブルケーブルは人間の動脈だと思って慎重に扱ってください。
そして基盤を固定しているネジ1本を外し、ケーブルに注意しながら基盤を外してAF/MFスイッチも外します。
C: 黄色丸部分のネジを外し、距離窓の付いた外装パーツを外します。
フォーカスリングを外しますが、この時に組み合わさる凹凸を確認しながら外します。
そして赤丸のネジを外します。
D: ズームリングのネジ3本を外しますが、これを外すとズームユニット部とUSM部が分離するのでフレキシブルケーブルを切らない様に注意します。
分離する時には必ず青丸のフォーカス駆動ピンの入る位置、赤丸のズームリング接続ピンの入る位置をそれぞれ確認しておきます。
②前群ユニットの取り外し
レンズ前の化粧カバーは3箇所の爪で嵌めてある(黄色矢印)だけですので、細いマイナスの精密ドライバーなどを切り欠きに入れて(キズが付かない様にフィルターネジ溝には厚紙を挟みます)テコの原理で少しずつ持ち上げて外します。
無限遠(一番縮んだ状態)にセットしてから鉛筆などで前群の位置マーキングをして青矢印のネジを外し、メッキのリングを外します。
そして黄色矢印の指すプラリングを傾けながら片方の溝からツメを外し、プラリングを外します。
後は前群ユニットが外れるまでの回転角数と外れる位置を正確にマーキングしておきます。
各レンズを清掃します。
③嵌め殺しレンズの清掃
こればかりは避けて通りたい道ではありますが、デザインナイフなどで欲張らずに少しずつ削っていきます。
もしレンズの間にドリルなどを通す余裕がある場合、以前行った超音波洗浄器を使った洗浄も可能かもしれません。
そして清掃したレンズを取り付け、半田ごてでまたプラ部分を溶かして固定するか、友ブロ「想桜さん」おススメの「アドカラーチューブ クロ」で固定する方法もあります。
今回はカビが前玉と後玉だけでしたが、もし中玉などにカビがある場合はズームユニットも分解する必要があります。
もし行う場合は位置マーキングと写真を撮りながらやる事と、フレキシブルケーブルを切らない様に集中して作業を行ってください。
あとは元通り組み立てて完成です^^
④AF不良の原因を探るべく部品を交換
A: もう一つ同じレンズでAF不良の物を買ってきました。
マニュアルフォーカスなら問題なく撮影できます。
B: 製造番号はかなり離れていましたが、使われている部品に変更は無さそうな感じです。
C: 基盤の仕様も全く同じで、取れている部品や焼損している感じはありません。
D: とりあえず基盤を交換してみましたが、症状は改善しませんでした。
⑤USM(超音波モーター)を交換してみました
A: 矢印の押さえリングを回して外せば全ての部品がごっそり外れます。
B: 何と、「EF35-135mm F4-5.6 USM」と全く同じモーターが使われていました。
完動品の「EF28-80USM」にこのモーターを付けるとちゃんと動きます。
C: リングスプリングとフリクションパーツは違いましたが、役割は同じなのでそのまま使ってみました。
でも結果はAF動かず…
結論として「フォーカスリング連動の距離計用のフレキシブルケーブル断線」と判断しました(汗)
以前「EF-S18-55mm」で交換したケーブルです…
これが断線しているとキャノンのAFモーターは動かなくなるからです。
交換部品も無いので、今回は修理を断念しました。
(でもいつか根性で結線するかもです)
D: それでは分解・清掃が完了したレンズをEOS Kissx3で使ってみます。
⑥「Canon EF28-80mm F3.5-5.6 USM」の作例
花で休むシジミチョウ
Canon EOS Kissx3 80mm f5.6 1/800 ISO400
⑦公園の滑り台
28mm f8.0 1/60 ISO400
⑧公園の遊具
50mm f5.0 1/800 ISO400
⑨アパガンサス
80mm f5.6 1/2000 ISO400
⑩公園の雑草
80mm f5.6 1/125 ISO400
⑪公園の池の景色
28mm f8.0 1/500 ISO400
⑫公園のモミジ
80mm f8.0 1/320 ISO400
⑬助け合う野良猫さん
80mm f5.6 1/200 ISO400
⑭向日葵(ヒマワリ)
28mm f7.1 1/20 ISO400
⑮物撮り(スケールフィギュア)
70mm f14.0 1/30 ISO200
フィギュアフォトの場合、もっと絞り込まないと全体をカバーできません^^;
かといって広角で撮影すると歪むのでダメなんです。
今回はAPS-C機で撮影したので隅の画質は分かりませんが、高画素機で使わなければ十分の画質だと思います。
見た目も大きくて迫力がありますし、当時のUSMのそこそこ速いAFも味わう事ができます^^
◎レンズの分解・清掃はリスクが伴いますので、できればプロに任せる事をお勧め致します。
あくまでこの分解・清掃は個人的な趣味の為、間違っている事も多いと思いますので、レンズの仕組みを勉強する程度にして下さると嬉しいです。
もしレンズを分解・清掃する場合は必ず自己責任でお願い致します(汗)
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以上、【キャノン 「Canon EF28-80mm F3.5-5.6 USM」簡単な分解清掃】でした!
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